5.青本が重要である理由

青本は、各法律の立法者が、立法の趣旨、法律の内容等を逐一説明している本です。各法律の基本事項が網羅されているという点で、基本書中の基本書であり、今もってその重要性は変わりがありません。事実、受験機関のテキストも、青本の記載を元にして作成されているものがほとんど、というよりも全てのテキストが青本を元にしていると言っても過言ではありません。

ただ、「受験機関のテキストが青本を元にして作っているなら、わざわざ青本を読まなくてもよいのではないか?」といった考え方も可能です。近年の受験生の中で、青本を一生懸命読んでいる受験生はむしろ少数派であると思います。限られた時間の中で最終合格を目指すのであれば、時間を節約したいと思うのは当然の話です。社会人の受験生が多い弁理士試験であればなおさらであると思います。

しかしながら、受験機関のテキストだけでは不十分な点があることもまた事実です。

受験機関のテキストは、限られた紙面の中で効率よく法律知識を網羅する必要があります。従って、できるだけ贅肉をそぎ落として、簡略化した記載を心がけているものがほとんどです。前述の通り、受験機関のテキストは、青本を元にして作成されているものがほとんどです。受験機関がテキストを作成する際に、青本の記載を簡略化して掲載することもよくやられています。

ところが、この簡略化する際にそぎ落とされた部分を全く知らずに試験に臨んだ場合、そのそぎ落とされた部分について聞かれたときに全く対処できなくなる恐れがあります。口述試験で立法趣旨を聞かれたときに、「青本通りに答えろ」との指示が試験官から出された場合、全く対処ができなくなる恐れも否定できません。

さらに、青本の片隅に記載されている事項が、短答試験の枝として出題されることがよくあります。このような記載事項が受験機関のテキストから漏れていた場合、その枝の正誤を判断できないことになります。

今もって青本は、基本書中の基本書であり、受験生であれば少なくとも1度は必ず目を通すべきであると考えます。